45pick

軍事郵便

懐かしい銃後の便りや真心込めた慰問袋あるいは勇ましい戦地の便りの媒介として軍事郵便は事変以来特に国民一般に親しまれている。この軍事郵便はどう取り扱われているか。これを内地から差し出す場合を例にとってみると(図参照)

[差出人→郵便局→郵便交換局]→内地から現地へ→[野戦郵便局→第一線/海軍軍用郵便所→第一線]

となっており、この内地区間の取り扱いは逓信省で、また戦地での取り扱いは陸海軍の機関によって行われている。
軍事郵便物の到着を待つ勇士、そしてそれが手に渡った時戦塵の労苦を忘れ、歓喜に浸る様は到底内地にいて想像できる程度のものではない。軍事郵便物の取扱者は常に兵士の喜びを心に描いて夜も昼も一生懸命業務に励んでいるのであるが、なにぶんにも取り扱い数がおびただしい多数に上るのと、ことに現地ではあらゆる不便を伴うのでこれを無事に名宛人に届けるまでの労苦は並大抵ではない。そして目下のところ郵便物、特に慰問小包は以上のような取扱者の労苦と精励とにもかかわらずその宛地が戦地である関係上相当遅延することがあるのはやむをえないことである。
郵便物を早く、確実に、完全に送達するためには軍事郵便を実際に利用する人の協力に俟たねばならないことが多いが、その中主要なものを挙げると、

1、郵便物の名宛は陸軍部隊にあっては「北支または中、南支派遣何々部隊何部隊何隊何某」また海軍部隊にあっては「佐世保郵便局気付何々部隊何某」と明記すること。
そうすれば部隊または艦船が異動しても送達される。

2、郵便物の包装は郵便物が長途の海上を波に揺られ、また汽車や自動車に山と積まれて前線に送られ、この間幾回となく積卸しされるものであることを考えて、充分堅固にかつ中身の動揺しないように工夫すること。

3、郵便禁制品、すなわちマッチ、ライター等の発火性のものを郵便物中に入れたり、または手紙を小包に同封したりしないこと、(ただし一般の慰問文のような特定の人に宛てないものは差し支えない)また腐敗しやすいもの、あるいは流出の恐れのあるものは送らないようにすること。

などであって、これらのことはぜひ注意して頂きたい。

第45号 昭和13年12月21日

目次

  • 宮内省
  • 軍事郵便(写真記事)
  • 満州鉄道愛護運動(写真記事)
  • 交通事業調整法(写真記事)
  • 戦争と食糧(写真記事)
  • 上海だより(写真短信)
  • 海の彼方(写真短信)
  • 読者のカメラ(読者投稿写真)
  • 広告「明治紅茶」
  • 広告「国際経済週報」
  • 広告「エビオス錠」

表紙

45cover

電子書籍も好評販売中です。

D_Button  P_Button

【戦時中の便り】いつの時代も人の心は同じ【軍事郵便とは】

投稿ナビゲーション