7pick

愛林日

4月4日 農林省

鬱蒼と森林の繁る国は栄え、その荒廃する国は衰える。森林は実に国家の重要な資源であって、これを愛護することは国民の尊い義務である。

森林の第一の効用は木材の生産である。木材はまず誰でも知っているように建築用材、船舶用材、土木用材、または枕木用材、電柱用材、車両用材、器具用材、工芸用材等となり、あるいは家庭燃料として用いられるほか、紙、人絹(レーヨンのこと)、ステープルファイバー等の原料であるパルプもやはり木材から製造されるのであるから、我々が森林から蒙る恩沢は実に大きいものである。

森林の第二の効用は保安という点である。我が国は地勢その他の関係から特に各種の災害が頻発するが、森林は土砂の崩壊、水害、風害、潮害等を防ぎ、あるいは水源を涵養する等、国土の保安という点から言っても森林の意義は重大である。

また森林は昔から精神修養の道場となり、神社仏閣で鬱蒼たる森に囲まれていないものは少ないことから考えても、森林が国民の道徳的宗教的訓練になくてはならぬ背景となっている精神的効用も忘れてはならない。

このように森林は国家の重要な資源であり、国民精神修養の道場でもあるところから、これに感謝し、これを愛護する精神の普及を目的とする運動は古くから行われている。

外国の例を見ると、米国では1872年に「樹の日」がネブラスカ州の知事モルトンによって定められ、1907年にルーズヴェルト大統領が全国の小学校児童に毎年、一日植樹の実習を行うよう命令するに及んで「樹の日」は全国的に盛大に行われるに至った。<中略>

我が国でも朝鮮では明治44年以来約2千万本の植樹を神武天皇祭に行っている。内地では大正15年に青森県で「愛林植栽日」を始めたのが嚆矢(こうし)であろう。

全国的に統一して行われだしたのは昭和9年以来で、本年はその第5回目にあたるが、本年からは4月4日を「愛林日」と定め、この日を中心として道府県市町村小学校、青年団、消防組合、その他各種の団体が中央・地方協力して造林、手入れ、撫育、牧野林の造成整理、記念植樹、標柱建設、講演会、座談会、映画会等の開催、ポスターの配布、あるいは森林火災消防演習等を全国的に行って、大いに国民一般の愛林観念を鼓舞することになった。

愛林は全国民の行いうるころであり、また全国民が行わねばならぬことである。一本の樹を植えることが、一本の樹の手入れをすることが愛林の実行であり、あるいは常に森林を大切にし、森林内ではタバコの吸い殻に火のついたまま捨てないのも愛林であり、また一本のマッチ、一枚の紙でも、およそ木でできるものすべての消費を節約することが日本の森林の荒廃を防ぐことになり、立派な愛林の精神にかなっている。

近時の戦争は全体戦争である、すなわち一国の有する資源、国民精神のすべてを挙げて戦争の目的達成に供しなければならない。戦争の最後の勝利は充実した国家の資源と旺盛な国民精神によってはじめて獲得されるものである。

今や我が国は朝野を挙げて暴支膺懲の聖なる目的達成に邁進しているが、東洋の平和確立の前途はなお遼遠である。この時にあたって森林がいかに重要なる国家資源であり、また国民精神修養の道場であるかを知って、これを愛護することは我ら日本人として尊い銃後の使命である。

第7号 昭和13年3月30日

目次

  • 広告「国民精神総動員」
  • 八紘一宇(写真短信)
  • 黄河へ! 黄河へ!(写真短信)
  • ファシスト訪日親善使節団を迎えて(写真記事)
  • 肇国の地に起てり 祖国振興隊(写真記事)
  • 図書館記念日(写真記事)
  • 愛林日(写真記事)
  • 海の彼方(写真短信)
  • 広告「国際経済週報」

 7cover

電子書籍も好評販売中です。

D_Button  P_Button

【4/4は植林の日】戦争と森林愛護【戦時の重要資源】

投稿ナビゲーション