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今度の戦争では各国とも敵国兵や敵国人の収容数が相当数にのぼっている。捕虜の取扱については国際間に申し合わせがあるが、在住敵国人の待遇については、いまだかつてこうした所がなく、各国ともこの処遇についてそれぞれ頭を悩ましているところだ。

これはマニラ市セントトーマス大学に収容されている米英その他敵国人3千数百人の日常生活である。
彼らは許された区画内でさして不自由もなく十分な食事と清潔な寝室と、相当の娯楽設備さえ整えて我が方の監督下に自治の生活が許されている。個人の自由と個人の享楽を追求することをもって生活と心得た彼らにとっては、この生活に顧応するために相当の努力を必要とするかもしれない。が、何といっても我が武士の情けで、敵国人にもかかわらず、これだけの待遇を受けている彼らとしては心から感謝しなければ罰が当たるというものだろう。

しかしながらマニラの美しい大学に収容されている米英人たちと、シェラネヴァダ山脈奥地のバラックに収容されている邦人たちと、その心境を比べてみる時、一方は祖国の敗戦を自棄の笑いに聞きながさざるを得ないのに対して、もう一方は祖国の連戦連勝を風の便りに聞き知って、喜びの万歳を叫んでいるであろうという大きな相違があるのだ。

戦いはすべからく勝たねばならないということは、敵国人収容所を訪ねてもしみじみと感じられる実感である。

在マニラ久宗 深尾両 特派員

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許された範囲の自由を利用して、その日の生活を愉しむ彼ら一流の生活の仕方・・・祖国の敗戦などさしあたっての問題ではないらしい

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子供たちは別棟に収容されていて、幼稚園のような生活をしている。
「また切っちゃったの、あんたは!」お母さんのご機嫌が悪い

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敷地内のあちこちで野球や籠球が盛んだ。どっかでワーッと歓声が上がっている

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「くわんくわん」をべったりつけて、久しぶりにお父さんの膝の上・・・託児所の空気は陽気そのものだ

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食事時には配給所の前に一列行列の励行だ。豪奢な食事というわけにはちょっといかない。自国の敗戦が身に沁みるのもこんな時だ

第230号 昭和17年7月22日

目次

  • 時の立て札(イラスト入り)
  • おお寒いこの戦線 -アッツ島(写真短信)
  • 残敵を飛沫に散らして -海南島(写真短信)
  • マニラ敵国人収容所(写真記事)
  • スラバヤ素描(イラスト入り)
  • ニコバル無血占領(写真短信)
  • チョンマゲとマレー人(写真短信)
  • 大東亜戦争日誌
  • 世界に誇るベナンの錫精錬所(写真短信)
  • ニッポンゴで埋め尽くす -昭南島(写真記事)
  • 湖をゆく日の丸舟 -ビルマ(写真短信)
  • 復習室
  • 大東亜戦争漫画日誌(マンガ)
  • 広告「貯蓄戦でも米英打倒」

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【第二次世界大戦】戦中捕虜の扱い比較【マニラ・聖トーマス大学】

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