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兎は大切な軍需品

昔インドの伝説に、一人の老人になった神様が森の中に迷い込んで食べ物に困っているのを見て森の獣たちはいろいろ獲物を持ってきましたが、ただウサギだけは何も見つけることができないので「私の体を食べてください」と言って火の中に飛び込みました。神様はその犠牲の行いにとても感激してウサギを助け出し、月の中に住まわせたという話をお聞きになった事がありましょう。

ウサギはこの話のように昔から犠牲の心を表していました。
この度の戦にもウサギはその毛皮や肉を差し出して酷寒の地に戦う兵隊さんの食料となって第一線に戦っています。
これら戦のために死んでくれた軍兎の冥福を祈って10/5を期し全国一斉に軍兎祭(ぐんとさい)が行われますが、農家の皆さんも仲秋の明月の中で餅をつくウサギの姿をご覧になったら、いかにウサギの犠牲が聖戦に役立っているかを想われて、その冥福を祈っていただくと共に飼料の心配もなく手間もかからずしかもお国のために必要なウサギを飼ってうんと殖やす気持ちを持っていただきたいものです。
みなさんウサギを飼いましょう。

1,ウサギはどこで買えばよいか
県の種畜場や委託種兎場でお買いになるのがよろしいが、それがない所は市町村の農会とか養兎組合または県庁などに聞かれると確実な良い所を教えてくれます。

2,一頭の値段はどれくらいするか
本年の2/18に繁殖用の兎の値段が決まりましたが県によって今まで決まっている所はその値段によります。最高の値段は生まれてから4ヶ月未満のものは1円以内、4ヶ月から8ヶ月までのものは4円以内、8ヶ月以上のものは7円以内です。

3,何頭くらい飼えばいいか
みなさんの近くで得られる餌の量と農業に差し支えなく飼える人数(すなわち女、子供や老人の数)等で決めるのがよろしいが、オス1頭にメス4-5頭を標準とします。

4,どんな兎を飼うか
まず健康な白色在来種(白兎)選びましょう。毛のツヤが良く、目が生き生きして体が引き締まり耳を活発に動かしているのが健康で、また白兎と言っても爪の色が黒かったり、目の色が茶色だったり、少しでも黒毛が白毛の中に混じっているのは本当のの白兎ではありません。なお病気の有無については農会の指導員に検査していただけば一番確実です。

5,兎箱の作り方と置き場所は
一頭あたりの箱の大きさは高さ1尺5寸、間口1尺5寸-2尺、奥行き1尺5寸が標準で、石鹸箱や林檎箱などを利用して床には3-4分くらいの間をおいた竹または板のスノコを作って尿が流れるようにし、戸は竹等を張った開き戸にします。置き場所は軒下とか納屋の中で結構ですが、風通しのよい乾燥した西日の当たらない場所を選びます。

6,餌はどんなものを与えればよいか
兎は毒草や刺激性のもの以外は何でも食べさせられますから野草とかとか豆腐粕、くず芋、芋づる、野菜くずやリンゴ、バナナ、梨の皮、樫、楢の葉、竹笹などもよく、お茶殻や蜜柑の皮も食べます。手軽に得られる大麦、小麦、エンバク、米ぬか、飴粕、大豆粕などは大好物です。

7,兎に与えてならないものは
キンポーゲ、スイセン、ハッカ、タデ等の毒草と、ショウガ、タマネギ、トウガラシ、ネギその他の辛味、酸味のあるものはいけません。また露や雨に濡れたものは乾かしてからやるようにします。

8,餌を与える回数と量は
餌を与える時は時間を決めて1日2-3回。量は2時間以内に食い尽くす程度です。

9,箱の掃除は何回くらいがよいか
1週間に2-3回はすっかり掃除をして常に清潔に乾燥させ、1年に2回くらい熱湯や消毒薬(例えばクレゾール石鹸)で消毒します。

10,繁殖は生後何ヶ月くらいで何回すればよいか
繁殖に使うには大体オス10ヶ月・メス8ヶ月くらいからで1年3回、3月、5月、10月がよろしい。

11,子ウサギの育て方
子ウサギは生まれてから3週目くらいから餌をボツボツ食べ始めますから固い粒餌は挽き割って与えます。だいたい35-45日で乳離れしますから乳離れの時は母兎を他の箱に移します。餌は青草や野菜などの中柔い栄養の良いものを与え、できれば魚粉等も食べさせます。量は生後4ヶ月くらいまでは親兎より少なくし、4ヶ月半から親兎と同量与えます。そしてこの頃一頭ずつに分けます。

12,病気になったらどうするか
元気が無くて餌を食い残したり、軟い便を出したり、鼻汁が出たりするのは病気と見なしてすぐ隔離し、ひどいのは殺し、その箱は消毒をします。

13,ウサギの肉や毛皮はどうするか
兎毛皮は農会に頼めば軍部ですべて買い上げてくれますし、肉は自家用にするか、または農会に頼めば軍部で買い上げますから心配は要りません。毛皮は生後8ヶ月くらいが最も良い毛皮です。
しかし7/1から9/30までは屠殺が禁止されていますからこの期間には殺さないようにしてください。
毛皮は一枚平均1円30銭くらい、肉は地方によって違いますが100匁40銭くらいです。
(農林技師 田中良男)

第188号 昭和16年10月1日

目次

  • 広告「錠剤わかもと」
  • 満州事変十周年記念 並びに満州国承認祝賀晩餐会(写真)
  • 特集:銃後奉公強化運動 傷痍の勇士に花嫁を/今は楽しい勇士の家/おい集まれ!今日の勇士の家の稲刈りだ/遺児を立派に育てましょう(写真週報)
  • 時局解説 強化された米の国家管理
  • 緊迫の独米関係をめぐって
  • 銃後の母(小児の作文から)
  • ゆるめるな軍事援護
  • 写真週報問答(読者質問)
  • 航空日に献納の51機(写真)
  • お宅にもきっと不用な金物がありますよ!(写真短信)
  • 廃品更生の王様(写真短信)
  • 兎は大切な軍需品(写真記事)
  • 銃後のカメラ(読者投稿写真)
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【戦時中】ウサギの飼い方【兎の精神は犠牲の精神】

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