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爆撃機の目的は誰でも知っているように敵の都市や敵部隊、あるいは敵艦などに爆弾を投下して大損害を与えるにあるが、それには当然大きな機体に重い爆弾を搭載しなければならないから、始めのうちは速い速力と軽快な運動性に欠け、敵高射砲や戦闘機の良き餌食として提供されがちであった。
ところがこの数年来の爆撃機の進歩というものは全くめまぐるしいばかりで、今米国で世界に誇っているボーイング299型を例にとってみると、水平速度は370キロ(3,000メートルの高度で)、3.5トンの爆弾を積んで9,600キロを一気に飛べるという。しかも武装は機銃4〜5。こうなると戦闘機の餌食どころか何でも来いといった強さで敵の上空に臨める訳だ。


さて、この爆撃機が敵を爆撃するには普通爆撃目標の上に達すると、風向、風速、自機の速力などを精密に測定、投下角を決定した上、水平飛行の姿勢で投弾する。しかし、敵陣には幾多の死に物狂いの防空砲火があることを覚悟しなければならないからあまり低空飛行はできない。したがって、こうした水平爆撃では搭乗者の優秀な技術をもってしてもなかなかすばらしい命中率を挙げる事は難しい。そこで、今事変でもわが航空部隊が好んで使用した急降下爆撃(ヘル・ダイヴィング)という新手の爆撃法が生まれた。

この方法は、爆撃機自身、爆弾になったつもりで高空からいきなり目標めがけて急降下し、「あっ」と言う近距離で目標に投弾するやたちまち高速で舞い上がる。発動機を全開にして急降下するとすれば目標までの距離は降下角を60°として5,700メートルとなる。機の降下速度を700キロ毎時とすれば僅々30秒たらずで降下できるわけだ。このように凄まじい勢いで降下してくる爆撃機に対しては敵の高射砲はほとんど役に立たないが、機関銃射撃は降下する機が一点にとどまって次第に大きくなってくるので、命中率は次第に高くなってくる。これを避けるために登場者は陽を背にして敵陣からは眩しくて機影がよく認められないように突っ込むのを原則としている。
ただこうした急降下爆撃では人間の体力としては耐えうる限りの速力で降下しながら照準し、投弾し、その上舵を操作して急旋上昇しなければならない登場者の肉体的苦痛はある場合においては命を捨てる以上のものであろうが、その命中率はそれだけにすばらしいものだ。
この他、不意に敵の頭上僅かに2、30メートルの低空に高速力で現れて投弾する超低空爆撃法、あるいは魚形水雷を放って艦隊を襲撃する雷撃法など、爆撃機そのものと爆撃法の進歩発達はいよいよ今後の戦闘の死命を制するものとして重要視される一方であろう。

第2号 昭和13年2月23日

目次

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  • 温かき母国の土(写真短信)
  • ヒットラーユーゲント(写真短信)
  • ファッショ・バリッラ(写真短信)
  • 思想戦展(写真短信)
  • 事変下 議会の脈拍(写真特集)
  • 見よ!試練の日本銃後の力(写真短信)
  • 爆撃の話(写真記事)
  • 強い身体 優しい心(写真短信)
  • 海の彼方(写真短信)
  • 広告「時事年鑑」
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