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貯蓄戦に参加せよ
忠勇たる皇軍将士は、幾多尊い犠牲を積んで戦いを続けている。道はすでに拓かれたが、わが国家の大使命を達成するまでには前途ますます多端で、国民は不退転の決意を固くし、長期戦に備えねばならない。
もし、今、前線に闘っている皇軍に対し、兵器弾薬その他の軍需品が十分補給できぬとしたならば、また銃後の国民経済が、物価暴騰によって立ち行かなくなったならば、日本はどうなるだろうか?

政府が声をからして国民に呼びかける「貯蓄報国」の声をうっかり聞き流していたら、これらの不安がたちまち形となって現れてくるのだ。それを防ぐには、今日ただ今から国民一斉に貯蓄の銃を取り、節約の征衣を着て「貯蓄戦」に参加しよう。

何故貯蓄をしなければならぬか?

第73議会で協賛を経た予算は、戦費、一般会計予算を合わせると約80億となり、公債の発行額は約56億円と予定されている。この80億のお金は、その大部分は国民の手に落ちるのである。そしてなんら対策を講じない場合は、次のような家庭を経て、恐ろしい結果を招く事になるのだ。
1,例えば政府が軍需品を買い上げてその代金を軍需品製造会社へ支払う。すると、会社を中心に社員、職工の所得が増え、会社へ原料、材料を提供する商人の利益も多くなる。政府は軍需品工場に暴利をむさぼらせぬように監督してはいるが、平時に比して注文が激増するから、関係者の所得が増すのは当然である。
2,これらの人々が所得の増えるままに欲しい物を買い、生活程度を高めていくとしたら、一般的に物資の消費が非常に増加する結果、物価が上がる。
3,需要に対して供給が伴えば何の心配もないが、戦争のために多量の物資が消費され、国内の生産力がほとんどそこに向けられている戦時体制下で国民がどんどん消費を増加すれば、物資の欠乏をきたし、物価が暴騰するのは当然である。
4,物価の暴騰は国内の国民が困るだけでなく、外国から見てわが国の物は割高となり、それだけ輸出の増進が阻まれて、外国から物を買う力が減少するので、今日たちまち必要な物資が得られなくなってしまう。
5,その結果、国民一個人の生活が脅威されるばかりでなく、政府がせっかく予算をとってあっても、1個1円のものを5円で買う事になると、計上した予算は5分の1に減じてくる。まず国民経済が維持できなくなるとともに、皇軍の尊い犠牲も、国家国民が大陸に成しつつある聖業もすべて水の泡となるのである。

貯蓄すればどうなるか?
今、国民が一斉に収入の増加を貯蓄したらどうなるだろうか?
1,銀行、信託会社、保険会社、大蔵省預金部などの金融機関に集まった貯金は、すべて50億の国債消化と、生産力拡充に30億が向けられる。
2,その結果、生活を切りつめる事で一般物資の消費は抑えられ、貯金する事で、国内の生産力は拡充され、軍需私財は円滑に整備されていき、国家国民の聖業達成の先頭に立つ皇軍将士は充分その力を発揮でき、国内経済もまた常に安定されることになるのである。
3,そして、この際の貯蓄は、個人的に言っても不測時に備え、一家の繁栄、子孫の幸福の基礎となるのであるから、まさに一石二鳥の方策である。

今回の貯蓄運動は不景気を起こさぬ
緊縮政策は不景気を招くような考え方が世間一般に行われているが、今までは民間にお金がまわらなくて国民の購買力が萎縮しているときに節約したので、物資の需要はいよいよ減退し、物資の生産過剰、産業界の沈衰萎微という現象が起こり、不景気を招いていたのである。
しかし今度の貯蓄は根本的に違い、従来からの購買力の他に、新しく50億の大きな購買力が国民に行き渡るので、この購買力が全部一般消費に向けられると、平時産業の物資に欠乏をきたし物価の暴騰を招く。そこで、この50億の購買力だけ貯金して、軍需工業方面の生産力にまわそうというのであり、軍需工業等はむしろ盛んになり、平和産業は元通りであるから、景気全体としては、決して悪くはならないのである。

以上の諸点をよく理解して、われわれは協力一致、銃後にあって貯蓄の武器をとって闘う、貯蓄長期戦の戦線へこぞって参加しよう。

第18号 昭和13年6月15日

目次

  • 広告「富国徴兵」
  • 特集:貯蓄報国 貯蓄戦に参加せよ/興亡ふたすじ道/貯蓄模範村を訪う-千葉県主基村/貯蓄戦の野戦本部(写真記事)
  • 金貨物語 -貨幣のできるまで(写真記事)
  • 海の彼方(写真短信)
  • 見よ!試練の日本 銃後の力(写真短信)
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表紙

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