212pick
護国の神・海軍特別攻撃隊

世界平和を使命とする日本の大精神を踏みにじり、皇国日本の生命さえも狙わんとした暴戻なるアメリカに、破邪顕正の剣を下すにあたりまして、捨て身を持って敵の腹中に飛び込み、猛然これに第一誅を加え、身もまた護国の華と散った海軍特別攻撃隊の偉業に関し謹んで発表致します。
(略)

更に付け加えて申し上げたいと存じますが、今ここに護国の忠霊の偉勲を偲びます事は、一億国民が忘れんとして忘れる事のできない第三回の命日を控え一入感激の新たなるものがあります。

この勇士たちは、日頃から上官の信任厚く、同僚後輩からは尊敬の的であった優秀な人物ばかりでありますが、いずれも眼中出世なく栄達なく、快楽なく、我が身さえなく、まったく『自己』という観念を捨てて、ひたすら大君と祖国に全身全霊を捧げ尽くし雄々しくも護国の華と散ったのであります。

この攻撃は、発表にもあります通り、岩佐大尉以下数名の将校の着想に基づくものでありまして、自ら工夫をこらし、ひとたび有事の際は、これをもって尽忠報国の本分を尽くしたいものと、人力を持っては至難と思われるこの大壮挙を案出致したのであります。以来数ヶ月間と言うもの自分たちの襲撃に万に一つの失敗あってはならぬと、人目を忍んで訓練に訓練を重ね、言語に絶する苦心を続けたのであります。

枚を銜んで敵巨艦に肉薄

かくして開戦となりますや、挺身真珠湾の奥深く侵入し、身を敵の艦底に叩き付けんばかりの猛襲を敢行し、然る後従容として死についたのであります。今、アメリカ側の報道等を加味して私の想像によりその攻撃の模様を申し上げようと存じます。

枚を銜んで(※くつわを噛んで声を上げないようにする、の意)真珠湾口を潜入せんとしますた防潜網が張られており、機雷が無数に布設してあり、さすが敵の警戒は厳重であります。しかし特別攻撃隊は百練の勇士ぞろい沈着機敏な操縦によってこれを難なく突破致します。
この時『わが事既に成れり』と勇士たちは微笑み合ったことと思われます。指揮官以下まことに一心同体人も艇もこれまた渾然一体をなしております。湾内の複雑な水路もものかは、躍る心を静かに抑え、我遅れじと全艇奥へ奥へと突入致します。
やがて潜望鏡に映るは、行儀よく二列に並んだ敵主力艦の集団ではありませんか。勇士たちの満足が思いやられます。各艇攻撃を開始致します。
ある艇は艦列の中央に位置する巨艦めがけて接近、猛然第一撃を加えまたある艇はその隣の胴腹をえぐります。この時潜望鏡にチラッと見えるのは空からする友軍機の活躍です。友軍機は今や果敢な爆撃の真っ最中らしい、
(略)
昼間の猛烈な戦闘を海底に潜んで聞きながらはやる心を抑えて日没を待った特別攻撃隊の一艇は艇内に持参した組木細工の玩具など相手に時間を消していたことと思います。これは誠に容易にはできないことであります。
ついに夜に入り、月の出を待って強襲を敢行致します。(略)見れば敵艦の巨体は月光を浴びて、くっきりと影絵となり、攻撃の好目標です。『発射始め◯◯!』指揮官の号令に、最後の襲撃が決行されます。見敵必殺の精神こめた襲撃に狂いはありません。轟然たる爆音が湾内をふるわせ数百メートルの火の柱が一時天を焦がします。(略)
この敵艦轟沈は遠く湾外にありました友軍部隊からもはっきり認められ、大爆発とともに天に冲する火焔が灼熱した鉄片を空中高く吹き上げるのさえ望見されたのであります。時は12月8日、ハワイ時間に致しまして7日午後9時1分。月の出2分後のことでありました。

戦は終わりました。しかし特別攻撃隊の勇士たちはついに帰らなかったのであります。ハワイ時間午後10時41分に特別攻撃隊の一艇からの『襲撃に成功せり』の無線放送が最後のものとなりました。

隊員は真に生死を超越し、最後まで敵艦撃滅のみに専念し、生還のごときは念頭になく、ある者は撃沈され、ある者は自爆致したことと認められるのであります。
激して死に赴くはその例少なしとしません。しかし冷静ことに処し身を以て信念を貫いた至高至純の没我の境地、鬼神もなくこの絶対犠牲の大精神こそわが武士道の華であり、わが民族の精華であります。
かかる例が世界の歴史にただ一つでもありましょうか? 私どもその偉勲を偲ぶだに、蕭然として総身の血の震えるのを覚えるのであります。
(略)

悠々たり決死行の門出

(略)
出発直前のことでありますが、勇士たちは揃って戦友たちと談笑し、ある勇士は『襲撃が終わったら上陸して、こいつにものを言わせてやりたいな』と無邪気にピストルを取り出してなでまわし、またある勇士は新しい肌着に着替えた上『軍装を着ていくべきだが暑いから作業着でご免こうむろう』などと悠々身支度を行い、またある勇士は『爆雷攻撃を受けぬようにしろヨ』と戦友が言うのを聞いて『ナーニそれまでには、敵のどてっ腹に大穴があいているさ』と何の屈託もなく大笑いして一同を煙に巻き『明くる日の ルーズヴェルトの 泣き言を 俺も聞いたぞ 閻魔の前で』と即興の一句を詠むという余裕綽々たるものがあったのであります。
またある酒好きの勇士に対して、戦友が『大戦果を挙げて帰ってくれ、その時は大いにやろうぜ』と励ませば、ニコニコしながらいつもの言葉の『ウム、呑もう』とは一回も口に出さなかったそうであります。この勇士たちは『帰る』とか『万一にも生きて』というごとき言葉は口にすべきでないと考えていたのでありましょう。(略)

やがて、いざ出発の時刻であります。
普通の出陣には『行って参ります』と上官に申告するのでありますが、その日勇士たちは『何々中尉(あるいは何々少尉)、ただ今より征きます』と力強く述べ『行って参ります』とは言わなかったのであります。
(略)
この時に及んでもなお、出で立つ勇士たちは自若たるもので、年若い一士官は『お弁当を持ったりサイダーを持ったり、チョコレートまでもらって、まるでハイキングに行くような気がする』と勇んで乗り込んだと言います。この若い勇士の胸のうちに、その時チラッと幼かった頃の楽しい遠足の思い出が浮んだのでありましょう。遠足の懐かしい思い出に胸ふくらませて、勇士たちは雀躍死地に飛び込んだのであります。

後で判ったのでありますが、勇士たちは身の回りは整然と整理し、上官や同僚に対する謝恩の言葉や、公務上の記録・意見など書き残したものはありましたが、遺言らしいものはあまり多くございませんでした。
(略・写真参照)
勇士たちはその言行から察してただ単に戦に勝つというだけでなく『心の米英撃滅』すなわち長年にわたって文化を通じ、思想を通じて日本国民の精神に食い込んでいる『自分さえ良ければ良い米英的観念』を駆逐・撃滅しなければならぬという信念を持ち実行していたように考えられます。
(略)

この母親にしてこの勇士

ここに銘記しなければなりませんことは、かかる己を滅して国家に殉ずる犠牲的大精神は、偉大なる母の感化によるところ大であることであります。勇士たちはいずれも申し合わせたように親孝行で有名でありました。勇士は休暇になれば短い期間の時でも必ず実家に帰り母親にお伴して一日を送るのが何よりの楽しみだったということであります(略)
母親が勇士たちを慈しみ育てたかげの力は絶大で、ことに家のため夫のため子供のため己を顧みずして働き続け、そこに無上の幸福を見出す母親の献身的な精神感化が偉大な力となって勇士たちの中に生長していたのであります。かかる偉大なる日本の母親なくして、どうしてこのような純忠の益良男が生まれましょう。己を虚しくして子供の中に生きる母親は、すなわち国家の中に生きる母親であります。
(略)
敵米英の軍人が、不利な相手と見れば素早く逃れ、死の危険多しと見ればこれに近寄らない念とする実状と、この勇士たちの心意気とを比較致します時、それは何たる大いなる相違でありましょう。その陰に米英の母たちの利己的、享楽的気分とその子供たちとの因果関係を見落としてはなりません。
米国にありましては、海軍軍人とはタダで世界を見物し、法外の給与を受け、以て世に快適幸福なる生活を送る職業なりと定義しているほどであります。(略)

大東亜戦争開始以来のわが連戦連勝につきましては全世界ただ驚嘆するのみでありますが、その裏にかかる大死一番身を捨てて祖国を護り抜かんとする伝統の大精神が脈々と流れているのを知りましたならばただ大和民族の血の尊さに頭を下げるの他はありますまい
そしてこのように世界に類いなき無限の力の湧き出る源が、畏れ多くもわが活つ神・大君にあるを思いまするとき御陵威の尊さにただただ感激あるのみであります。

大君の辺にこそ死なん心意気
(略)
私は繰り返して申します。一時に激するは易く、従容に死に就くは難し。
今は長期戦のなお緒戦期であります。
謹んで特別攻撃隊勇士に関する発表を終わります。

 

第212号 昭和17年3月18日

目次

  • 時の立札
  • 純忠比なし 軍神九柱(写真短信)
  • 特集:永久に伝えん わが海軍魂の精華/護国の神・海軍と区別攻撃隊/海鷲必殺の体当たり 敵航空母艦の撃沈確認さる(写真記事)
  • 大東亜戦争図(地図)
  • 大東亜戦争日誌
  • 炎熱の3月をラングーンへまっしぐら -ビルマ戦線(写真記事)
  • 新戦場辞典「バタヴィアとスラバヤ」(写真記事)
  • 大東亜戦争下の総選挙 翼賛選挙員貫徹運動とは?
  • 防空心得貼 敵機が来たら
  • 簡単な防空退避室の作り方(図入り)
  • 勝利への法律5 民法中改正法律/不動産登記法中改正法律
  • 栄ある陸軍記念日に大東亜民族交歓大会 – 東京後楽園(写真短信)
  • 白銀の機動戦 – 関東軍冬期訓練大会 満州国(写真短信)
  • 銃後のカメラ(写真短信)
  • 建国十周年 建国節 – 満州国新京(写真短信)
  • 復習室
  • 照準期(マンガ・イラスト)
  • 広告「簡易保険制度の改正」

表紙

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