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【「時の立札」活用の実例】-三重県鈴鹿市長太国民学校 小林良雄

私が『写真週報』を取るようになったのは昨年の9月からであるが、『写真週報』が届けられるごとにまず読むのは『時の立札』である。この言葉の持つ深刻な意味に常に打たれ、常に励まされる。私はこれを自分一個の感激に留めることをもったいないと思い、学校にある掲示板の一面に書くことにした。この掲示板は校庭にあって道路に面して立てられ、行きずりの人が時に足を止めて見入っている姿を見つけては独り微笑んだ。やがて、この程度満足しきれなくなった。

毎日のように来るポスター等の古いのをためておいて、これに新しい『時の立札』を児童に書かせて町の要所要所に貼らせることにした。
この頃では当番児童が「今度は何と言うのですか」と尋ねてくるようになった。町人の中にはこの『時の立札』に感激して、常会等に出席すると「先生頼みます」と言って献金を申し出る数も徐々に増えてきた。私はこれが決して見栄坊的行為でないことを喜んでいる。

忘れもしない昨年10月28日付の『写真週報』に掲載された『時の立札』

陣頭に立つ隊長の命令は
千人の兵士を悉く英雄たらしめる
率先身を以て範を示す殉国の大号令ゆえにこそ
銃後に上下一体、鋼鉄の団結を結ぶもの
それを『陣頭に立つ長』と呼ぶ

は私を奮起せしめた。多少不都合かとは思ったが、これを担任学級においてその日の第一限の始めに斉唱せしめることにした。そして今日までこれを続けている。第二学期以来毎朝、朝礼時に校訓と誓詞を朗誦することに定められたが、第三学期から誓詞の次に『時の立札』を朗誦することになったのも嬉しいことである。

敵アメリカの戦意と戦力は頂上に達してきたぞ
我々はどうだ
今年こそは生やさしい年ではない
座して戦に勝てようか
心も物もなお一層締めてかかるのだ 誰が
それは僕なのだ、君なのだ、あなたなのだ

寒風を切って、きりりとしまった口元からほとばしりでる子等の声は必勝の心構えに一段のしんばりを掛け、興亜の児童たるの自覚を固め、決戦の意気を燃えたたせずにおかないのである
私は町内常会の場合にも常会の誓の次に、その折々の『時の立札』を斉唱するようにしたいと思う。

それにしても私が感激に堪えなかったのは、去年末の『写真週報』12月23日付のものであった。『時の立札』の欄は周囲の枠が取られ、中は白紙だった。そして第1ページには畏れ多くも天皇陛下の皇大神宮御親拝の御写真が掲げられていた。私は『時の立札』欄の純白の面に文字なき文字を読み、声なき声を聴いた。そして謹んで次のごとく浄書した。

昭和十七年十二月十二日
畏くも 至尊
天祖の大御前に大東亜戦争一周年の戦果を報告し給ひ
併せて聖戦の必勝を祈念し給ふ
感極まり、涙頬を伝ひて止らず
粉骨砕身 誓って 遠慮を安んじ奉らん

噫!この感銘、いつになったら忘れるときがくるであろうか

(略)

第258号 昭和18年2月10日

目次

  • 時の立札
  • 病後をおして東條総理烈々の施政演説(写真記事)
  • 特集:昭南生まれて一年 破壊から建設へ/寺内最高指揮官 現地造船所を視察激励/新聞も移動点も活発に/ラジオ体操の本格的な講習会/町の人気さらう紙芝居(写真記事)
  • レンネル島沖海戦(写真記事)
  • 大東亜戦争日誌
  • 「時の立札」活用の実例(イラスト・写真入り)
  • 今年も豊かな稔りを(写真短信)
  • 決死で来た荷だ必死でおろせ(写真短信)
  • 僕らは少年騎兵隊(写真短信)
  • 受信室(写真短信)
  • 復習室
  • 照準期(イラスト・マンガ)
  • 広告「230億貯蓄完遂郵便貯金強調運動」

表紙

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【拡散される大本営発表】「時の立札」活用の実例

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