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支那古代の日時計 東京上野・科学博物館

<写真左ページ左上>
東京市外三鷹の東京天文台正門の標準時計

<写真左ページ中央>
嘉永三年(1850年頃)久留米の人、田中久重氏作になる万年時計。
六面の文字盤には秒・分・時・日・月・曜・十二支までをも示す時計が動き、400日巻きの豪華精巧なものである。

正しい時間

6/10は時の記念日である。
今から1,268年前、天智天皇が身自ら水時計を用いられて一般に時を知らせる事を御始め遊ばれた御事績を記念して、国民みんなが正しい時間を知り、正しく時間を守ろうとの心がけを新たにすべき日である。

時間を正確に知るという事は今日の文化生活に何よりも必要なことであるが、その正確な時間はどのようにして測り、どのようにして知るか。
いかに精密な時計でも、人が作ったものである以上、どうしても少しずつの狂いが生じる。そこで絶対に狂いのない運動をするものを標準時計として取り上げれば、絶対に正確な時間を知ることができるわけである。
我々の手近で狂いのない運動をするものと言えば、地球の自転である。それでは地球という標準時計の動きを測るにはどうすればよいか。我々は自分の乗っている汽車の速さを測ろうとする時には窓の外を走る電柱の速さを測ればよい。同様に地球の回転速度、つまり、一番正しい時間を知るには、地球の窓即ち天文台の望遠鏡から星の動く速さを測ればよい。

この原理に基づいて、東京天文台では毎夜子午儀という特殊な望遠鏡で昔からその位置の詳しくわかっている恒星の速度を観測して、この動きと標準時計の動きとを同じテープの上に電気的に記録させて標準時計のわずか100分の1秒程度の狂いをも正して絶対の正確さを保っている。
こうして決められた日本の標準時は東京天文台から各国と無線時報を交換して世界の標準時の正確を期するとともに、午前11時と午後9時無線及び有線電信を通じて放送局、中央電信局、鉄道省、船舶等に伝えられる。

天文台からの時報を受けると、放送局は時報時計を厳密に正して、全国津々浦々の家庭にまで標準時を伝える。
中央電信局及び鉄道省も親時計の狂いを直してそれぞれ電信を利用して全国の郵便局。停車場に正確な時刻を通報する。航海中の軍艦や汽船は接受した正しい時間と星の観測によってその位置を決める。

また、大規模な測量で経度緯度を測定する場合には特に正確な時計を必要とするので天文台からは学用報時という特別な無線時報を行い、これによって文化的にも軍事上にもきわめて正確な地図ができる。

「知るは易く、行うは難し」と言う。
正しい時間を知ることは現在では誰にも容易にできるが、正しく時間を守ることは久しく社会各方面で叫ばれながら今なお充分に実行されているとは言えない。
国民の一人一人が、一分の無駄をも省いて
生産の拡充に、事務の促進に力めなければならない事変下の今日、時の記念日を迎えていよいよ時間尊重の観念を深め、国民精神総動員の主旨に基づき公共生活においても自ら反省し、正しく時間を守ることを実行したいものである。

第16号 昭和13年6月1日

目次

  • 広告「第3・4回貯蓄債券」
  • 徐州陥つ – 陸軍省新聞班(地図入り写真記事)
  • 特集:勲章物語 – わが国の勲章(写真記事・勲章総覧)
  • 時の記念日(写真記事)
  • 時差表(図)
  • 海の彼方(写真短信)
  • 読者のカメラ(読者投稿写真)
  • 広告「明治アリメント」
  • 広告「写真週報・週報合同ポスター図案懸賞募集」
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表紙

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【時間厳守!】時の記念日と戦時生活

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