55pick

80億を目標とする国民貯蓄奨励第一年度もいよいよ余すところわずかとなった。
大蔵省貯蓄奨励局の発表によると、昨年4月から12月まで9ヶ月間の総貯蓄高は早くも56億円を突破。戦時財政への全国民的協力ぶりまことに頼もしい限りあるが、戦時市民生活運動の実行に全市民総動員の活動を続けている大阪市でも貯蓄奨励には特に力こぶを入れ、めざましい成績を挙げている。戦時市民生活運動の実行単位である市内3,000の町会はまた貯蓄奨励の実行単位であって、各町会では何とかして貯蓄の週間を町内に一人残らず植え付け、貯蓄の成績を挙げようと、それぞれ新しい工夫を凝らして努力を続けている。

浪速区南阪町会の桃太郎貯金は市内でも有名だ。どの家庭でも主人から召使いに至るまで一人ひとり貯金箱を持って各人名義で貯蓄しているが、町内に子供が生まれると、町会からは即日新しい貯金箱をお祝いとして贈り、桃太郎貯金の一員に加える。
そして毎月16日の貯金日がくると、町会の役員は桃太郎の衣裳をつけ、「桃太郎貯金」ののぼりを押し立て、銅鑼の音も勇ましく貯金の宣伝をしながら町内を一周、午後また同じ扮装で各戸を訪問、貯金箱と通帳を集めて回る。

<写真右ページ右下>
一人一本の竹筒貯金を励行している西淀川区浦江中二町会は今日の集金を終えて役員一同うれしい忙しさ。「この月はまたふえましたぜ」そろばん玉が勢いよく鳴る。

<写真左ページ右上>
「ご苦労はん、だんな。年寄りは年寄りなみに働かしてもろて、ちょっとずつでも貯金をせん事には」

<写真左ページ左上>
「昼から貯金箱と通帳を集めに参りますからご用意願います。もしお出かけになるお宅は隣の家に預けておいてくださーい」桃太郎の声が明朗に町内に響き渡る。

<写真左ページ下>
桃太郎の奮闘は報いられて浪費の鬼はたちまち降参、勤検力行の町内からは貯金の甕がどの家庭からも集まる。このひと月競争で貯めたバットの空箱利用の貯金箱と郵便貯金の通帳を持って、お父さんも、お母さんも、子供も。

第55号 昭和14年3月8日

目次

  • 広告「徴兵保険・教育結婚保険 第一徴兵」
  • 特集:雪の練兵 高田山砲島田部隊/新発田歩兵筒井部隊(写真特集)
  • 科学の仙人日記(写真記事)
  • 桃太郎貯金日(写真短信)
  • 日本の友情 チリへ慰問袋を(写真短信)
  • 収穫を失った農民へ - 北京(写真短信)
  • 海外通信(写真短信)
  • 読者のカメラ(読者投稿写真)
  • 広告「新眼科薬スマイル」
  • 広告「東京海上火災保険株式会社」

表紙

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【浪費の鬼も退散!】大阪に桃太郎貯金現る!

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